何年か前から耳にする「おひとり様」という言葉。

1999年頃ジャーナリストとして活躍していた故・岩下久美子さんにより提唱されたそうです。

元々は女性が一人で自由に自分の生き方を決め、自立した人間として趣味や旅行を楽しむという意味がありました。

今でも、同様の意味で使われることも多い「おひとり様」ですが、
独身の方のほか、離婚をした後に配偶者のいない人生を歩まれている方、ご主人や奥様に先立たれ、誰とも同居せず1人で暮らしている女性や男性も「おひとり様」とよばれています。

そのような「おひとり様」が抱える財産のお悩み…

民法のなかの家族関係(夫婦・親子・相続など)を規律する法律では、相続時に関わる人の範囲やできることが決まっていて、とても不便な部分があります。

何もしなければ、のこした財産は法定相続人の自由になり、遺言書を書いておいても亡くなったあとにしか遺言の効力は発生しません。

亡くなる前の対策としては、任意後見や法定後見もありますが、財産の管理という点では「親愛信託」がとても自由度が高く、有効です。

親愛信託であれば、性別や親族、血筋などに関係なく、
ご自身の「想い」や「願い」にそって
「大切なご自身の財産」を
事前に「誰に管理してもらい」、
「どういう風に使うのか」、
そして「亡くなった後は誰に承継してもらうのか」
を決めておくことができます。

戸籍とは関係なく自分の大切な人や法人を選択することを信託法は認めてくれています。

家族信託は、財産の管理をお願いする人を家族や親族に限定しているイメージがありますが、家族を作るつもりがないおひとり様にとっては、家族信託は自分には使えないものと思っていらっしゃる方がいるかもしれませんが、そんなことはないのです。

▶親愛信託の活用方法

財産を契約によって信頼できる人に託すか、自分が託し、託されるしくみの自己信託で、親愛信託をスタートします。

財産がたくさんある場合や特殊な財産をお持ちの場合は、一般社団法人等の法人を受託者にしたり、自分の財産を承継させる受益者にしたりすることも可能です。

▶残念ながら…

民法はおよそ100年前に制定されたもので、改正を重ねていますが、現在の国民のみなさまの多様化したニーズには追いついていないものになっているようです。

何らかの理由があり、ご自身の財産をご家族や親族に承継させたくないと思われている場合もあれば、戸籍上の家族以上に絆のある関係の方がいらっしゃる場合もあると思います。

残念ながら、民法ではこのような場合をサポートできるように定められていません。

民法では、法定相続人に該当する人がいなければ、あなたの財産は国に帰属します。
(それで良いと思う方もきっといらっしゃると思いますが…)

また、お亡くなりになられた後に全く関係のない方が「特別縁故者」という民法に認められた地位になれば、あなたの大切な財産は、縁も絆もない第三者が承継するおそれがあるのです。

▶早めの対策が大事!

親愛信託は、認知症対策だけではありません。

「おひとり様」という生き方は、自由で自立した素晴らしいものです。
だからこそ、自分の財産や将来についても、自分らしく、納得のいくかたちで準備しておくことが大切です。
親愛信託は、民法では対応しきれない“想い”“つながり”をかたちにできる柔軟な制度です。

誰に財産を託し、どう使ってもらい、誰に承継してほしいか——そのすべてを自分の意思で決められるのが親愛信託の魅力です。

「おひとり様」だからこそ、自分の人生を最後まで自分らしく生きるために、早めの対策を始めてみませんか?