親愛信託の受託者となると、信託法で様々な義務が課されます。
とはいえ、商事信託と違い、信頼関係のもとで契約が締結されているものですので、信託契約の目的に従い、誠実に行えば良いのです。
過剰に考える必要はありませんが、自分以外の人の財産を管理するのですから慎重に行う必要があります。
信託法で定められている受託者の義務について、具体的には、
①善管注意義務
・・・受託者は、善良な管理者の注意をもって信託事務を遂行しなければなりません。
「善良な管理者の注意」とは、職業や社会的、経済的な地位に応じて、その取引を行ううえで一般的に要求される程度の注意のことをいいます。
簡単にいいますと「常識の範囲内で信託事務を行いましょう」ということです。
②忠実義務
・・・受託者は法令及び信託目的に従って、受益者の利益のために、忠実に信託財産の信託事務を行いましょう、ということです。
③公平義務
・・・受益者が2人以上いる場合の信託においては、受益者全員に対して公平に職務を行いましょう、ということです。
④分別管理義務
・・・自分の財産と信託財産はきちんと分けて管理しましょう、ということです。
⑤帳簿作成等・報告および保存の義務
・・・信託財産に係る帳簿などを作成して、いつでも受益者に報告できるようにしておき、決められた期間保存しておきましょう、ということです。
⑥利益相反行為の禁止
・・・自分の利益を優先して、委託者や受益者に損害を招く可能性がある行為をしてはいけませんよ、ということです。
などが挙げられます。
こうした受託者の義務については委託者の意思によって、信託行為に別段の定めをすることによって、義務の軽減をはかることができます。
自分の大切な人に財産を託すのに必要以上の厳しい決まりを押し付ける必要はないと考える人もいると思います。
もちろん、信託法通りの義務が必要と考える人はそのような契約にすれば良いのです。
受託者は、委託者の信頼を受けて財産を託された、かけがえのない存在です。
信託法で定められた義務は、単なるルールではなく、その信頼に応えるための指針です。
もちろん、契約内容によって柔軟に調整することも可能ですが、何より大切なのは、信託の目的を理解し、誠実に行動する姿勢です。
受託者としての責任を果たすことは、委託者の想いを未来へつなぐ、大切な役割なのです。
