親愛信託は、平成18年に改正された「信託法」をベースにした比較的新しい財産管理の方法です。

「信託」とは、言葉のとおり「信じて託す」こと。

親愛信託は、自分が最も信頼する人に自分の財産を託して管理や運用、承継先、処分などを任せる仕組みのことです。

例えば、「自分が年を取ってきたので、子供に財産の管理を任せたい」「認知症が心配なので、元気なうちに対策をしておきたい」という場合などに利用することができます。

親愛信託は、どのような仕組みにするか、細かい内容を契約書にして取り交わすことで成立します。

自分たちで内容を決めることができるため、状況に合った仕組みを比較的自由に作ることができるのです。

私は、例えて言うなら、家を建て、間取りを決めることに似ていると思います。
その家に住む方の状況、
お一人様だったら?
パートナーとの二人暮らしなら?
子供のいるご家族なら? 
老夫婦二人なら? 
看護する人がいたら? 
ペットを飼うなら? などなど・・・

その方の置かれている状況によって、必要な広さや間取りは異なると思います。

しかし、すべて自由というわけではなく、建築基準という決まり事を守って建築しなくてはなりません。

親愛信託も信託法に基づいて、設計し、信託契約書を作成する必要があるのです。

親愛信託は、「誰が」「誰に」「誰のために」「何を」「どのように」信託するかという5つの要素で成り立っています。

(1)「誰が」=委託者
 もともと財産を持っていて、自分の決めた特定の財産の管理などを託す人

(2)「誰に」=受託者
 委託者から財産の管理などを託される人

(3)「誰のために」=受益者
 信託財産から利益を受け取る人

(4)「何を」=信託財産
 信託できる財産は「特定できるプラスの財産(金銭的価値に置き換えることが可能なもの)」です。

 具体的には、現金、土地や建物などの不動産、特許権や商標権、著作権などの知的所有権、絵画や骨董品などの美術品、株式会社の株式(自社株)などがあります。

(5)「どのように」=契約信託、自己信託
 契約信託は、委託者と受託者が信託の目的および信託財産の管理と処分の方法、誰を受益者にするか決めて合意することで成立します。

自己信託は、委託者と受託者が同一になり、信託宣言により成立します。

自分の持っている「特定できるプラスの財産」を信託財産にすることで、財産の名義人(受託者)と権利を持つ人(受益者)に分けることができます。

そうすると、名義人と権利を持つ人が同じである所有権ではなくなるため、名義を持っている受託者が信託財産について自由に管理方法や承継方法を決めることができるのです。