一般的に“ビザ申請”と呼ばれる手続きは、正式には“在留資格の取得・変更・更新”を指します。日本での滞在目的に応じた適切な在留資格を申請することが、安心して暮らすための第一歩です。
外国人の呼び寄せ
海外に住んでいる外国人が長期的に日本での生活を始めるためには、まず日本にいる方が「呼び寄せ」の手続きを行う必要があります。この手続きは、正式には「在留資格認定証明書交付申請」と呼ばれ、在留資格の取得となります。
この申請は、外国人と日本で一緒に暮らしたいと考えている婚約者や配偶者、あるいは外国人を雇用する予定の企業の担当者など、日本に住んでいる方が行うことになります。申請が許可されると、外国人は本国の日本の大使館や領事館でビザを取得し、正式に日本へ入国することができます。
このように、外国人の日本での生活は、まず「呼び寄せ」の申請から始まります。正確な手続きと適切な書類の準備が、スムーズな入国とその後の生活の安定につながります。
呼びよせから日本入国までの流れ
- 日本側の申請者が準備を開始
- 呼び寄せたい外国人との関係性(配偶者・子・親・雇用など)を確認
- 必要な在留資格を選定(例:家族滞在、日本人の配偶者等、技術・人文知識・国際業務など)
- 在留資格認定証明書交付申請(COE申請)
お客様に代わり、当事務所の取次行政書士が日本の地方出入国在留管理局へ申請を行います。
- 入管による審査
- 審査期間:通常1〜5か月程度(在留資格や状況により異なる)
- 審査の結果「在留資格認定証明書(COE)」が交付される
- COEを海外の外国人に送付
郵送またはPDFで送付(国によっては原本が必要)
- 外国人が現地の日本大使館・領事館でビザ申請
- COEを提出してビザ(査証)を申請(証明書交付日から3ヶ月以内に行うこと)
- 通常は短期間で発給される(数日〜1週間程度)
- 日本へ入国
- 上陸空港で在留カードが交付される
- 入国後、住民登録や健康保険加入などの生活手続きへ
在留資格変更申請(今持っているビザからの変更)
在留資格変更申請は、現在の在留資格で認められている活動内容を変更し、新しい活動に適した在留資格へ切り替えるための申請です。
例えば、留学の在留資格で日本に滞在していた外国人が、大学や専門学校を卒業後に日本国内で就職する場合、そのままでは就労活動が認められていないため、「留学」から「技術・人文知識・国際業務」などの就労可能な在留資格へ変更する必要があります。
また、日本人と結婚して「日本人の配偶者等」の在留資格を持っていた外国人が、離婚した場合も、状況に応じて在留資格の変更が必要になります。たとえば、離婚後も日本人との間に生まれた子どもと日本で生活を続ける場合には、「定住者」などの在留資格に変更することで、引き続き日本に滞在することが可能になります。
このように、外国人が日本での生活を続けるためには、現在の在留資格が新しい活動内容に適しているかどうかを確認し、必要に応じて変更申請を行うことが重要です。変更申請は、活動内容が変わる前に行う必要があり、審査では新しい在留資格に該当するかどうか、生活の安定性や継続性などが総合的に判断されます。
「在留資格変更申請(ビザの変更申請)」の流れ
- 現在の在留資格の確認
例:留学、家族滞在、日本人の配偶者等など
- 新しい在留資格の選定
例:就労ビザ、定住者、特定活動など
- 必要書類の準備
在留資格変更申請書、雇用契約書、理由書、住民票、収入証明など
- 入管へ申請書類提出
お客様に代わり、当事務所の取次行政書士が居住地を管轄する地方出入国在留管理局へ申請を行います。
- 審査を受ける
通常1〜3か月程度
審査期間中に追加資料の提出指示があった場合、適確に対応しないと不許可の可能性が高くなります。 - 結果通知
- 許可 → 新しい在留カード交付
- 不許可 → 再申請または相談
職場の変更や離婚など、生活状況に変化があった方は、在留資格の見直しが必要な場合があります。お気軽にご相談ください。
在留期間更新申請(今持っているビザの期間を更新)
在留期間更新申請とは、現在の在留資格を変更することなく、付与された在留期間を延長して引き続き日本に滞在するための手続きです。たとえば、「技術・人文知識・国際業務」や「家族滞在」などの在留資格で日本に滞在している外国人が、同じ活動を継続したい場合に申請します。
日本の在留資格(永住ビザを除く)には、個別に定められたの在留期間が設定されています。期間が満了する前に更新申請を行わないと、不法残留者とみなされ、出国命令が出される可能性があります。これは非常に重大な問題につながるため、在留期間の管理は慎重に行う必要があります。
在留期間の満了が約3か月前になると、更新申請が可能になります。申請後に在留期間が過ぎてしまった場合でも、「特例期間」として最大2か月間の猶予が認められており、その間は合法的に滞在できます。
ただし、注意が必要なのは、同じ在留資格であっても状況が変わっている場合です。たとえば:
- 同じ就労ビザでも、職場が変わっている場合
- 同じ結婚ビザでも、離婚後に別の日本人と再婚している場合
このようなケースでは、更新申請で提出すべき書類が大きく変わるため、準備に時間と手間がかかります。そのため、余裕を持って早めに申請の準備を始めることが非常に重要です。
「在留期間更新申請(今持っているビザの期間を更新)」のおおまかな流れ
- 在留期限3カ月前
更新申請が可能になります。提出書類準備開始。
- 在留期限2カ月前
お客様に代わり、当事務所の取次行政書士が居住地を管轄する地方出入国在留管理局へ申請を行います。早めの提出が安心です。
- 在留期限到来
- 特例期間(2か月)開始
- 審査中であれば合法的に滞在可能
- 許可後
- 入管から通知
- 新しい在留カード交付
永住申請
永住ビザ(永住者の在留資格)は、外国籍のまま日本に無期限で滞在できる権利を得られる在留資格です。通常の在留資格とは異なり、在留期間の更新が不要(※)で、職業や居住地の制限もほとんどなくなります。これにより、より自由で安定した日本での生活が可能になります。
※在留カードの更新(7年ごと)は必要
永住ビザを取得しても、重大な違反や長期の海外滞在などがあると、永住資格が取り消される可能性もあります。安定した生活を続けるためには、引き続き法令遵守が求められます。
永住ビザ取得の主な要件(基本3条件)
- 素行が善良であること
→ 日本の法律を守り、社会的に非難されるような行動がないこと。
例:重大な交通違反、犯罪歴がないこと。 - 独立した生計を営んでいること
→ 公的扶助に頼らず、安定した収入や資産があること。
目安として、年収300万円以上が一つの基準とされています。 - 日本にとって利益があると認められること
→ 原則として10年以上継続して日本に在留していること。
そのうち就労資格または居住資格で5年以上の在留が必要です。現在の有効期間が3年か5年であること。
※特例:日本人配偶者や高度人材は短縮条件あり
その他の重要な審査ポイント
- 納税・年金・健康保険料の支払い状況
→ 未納や滞納があると、審査に大きく影響します。
申請時に納付済みでも、期限内に支払っていない場合は評価が下がることがあります。 - 在留資格の最長期間で滞在していること
→ 例えば「技術・人文知識・国際業務」などの資格で5年の在留期間を持っていることが望ましいです。
(※)特例で永住申請が可能なケース
- 日本人・永住者の配偶者で、婚姻生活が3年以上かつ1年以上在留
- 「定住者」の在留資格で5年以上継続して在留
- 難民認定を受けた方
- 高度人材(ポイント制で70点以上)で3年以上在留
- 特別高度人材(80点以上)で1年以上在留
永住ビザの申請は、書類の不備や要件の誤解によって不許可になるケースも多いため、事前の準備と専門家への相談が非常に重要です。
帰化申請
帰化申請とは、外国籍の方が日本国籍を取得し、正式に「日本人」となるための手続きです。永住ビザとは異なり、帰化すると国籍そのものが日本に変わるため、選挙権や公務員資格など、日本人としての権利が得られます。
帰化申請の主な条件
日本の国籍法に基づき、以下の条件を満たす必要があります。
- 来日してから引き続き5年以上日本に住んでいること
※例外あり→ 5年のうち3か月連続で出国したり、年間の出国日数が100日を超えている場合は、「引き続き」日本に住んでいたとは認められない可能性があります。
※日本人配偶者、定住者などは短縮可能 - 5年間のうち3年以上は就労ビザ(技術・人文知識・国際業務や高度専門職、経営・管理など)で働いていること(日本人配偶者、永住者、定住者は不適用)
- 18歳以上であり、母国でも成人していること
※国によって成人年齢が異なるため注意
※両親と一緒に子供が帰化する場合は未成年でも帰化できます - 素行が善良であること
→ 犯罪歴がない、交通違反が少ない、社会的ルールを守っている - 安定した収入があること
→ 年収300万円以上が目安。会社員・自営業・家族の収入でも可 - 母国の国籍を放棄する意思があること
→ 二重国籍は原則認められていません - 反社会的な団体に属していないこと
→ 暴力団、過激派などへの関与がないこと - 日本語の読み書き・会話ができること
→ 面接で確認されることが多い - 在留カードに書かれている「在留期間」が少なくとも3年以上必要
手続きの流れ
法務局で事前相談(予約制)
必要書類の準備・作成
法務局へ正式申請
面接・書類審査(数か月〜1年)
許可通知
日本国籍取得
市区町村で戸籍登録
- 年金・税金の未納があると不許可になる可能性が高いです
- 交通違反(特に無免許・飲酒運転など)は厳しく審査されます
- 書類の不備や虚偽申告は申請取り下げや不許可の原因になります
帰化申請は、日本国籍を取得するための重要な手続きですが、ご自身だけで進めるには非常にハードルが高いです。必要な書類の種類も多く、準備や記入に時間がかかるうえ、法務局とのやり取りや面接も含まれるため、初めての方には負担が大きく感じられるかもしれません。
また、在留資格申請とは異なり、行政書士が取次申請することはできません。帰化申請は、必ず申請者ご本人が法務局へ出向き、直接申請を行う必要があります。
とはいえ、行政書士ができることもたくさんあります。たとえば:
- 必要書類の作成・整理
- 書類のチェックと不備の防止
- 面接で聞かれる内容のアドバイス
- 法務局への同行(事前相談や申請時)
このように、専門家のサポートを受けることで、申請の準備がスムーズになり、安心して手続きを進めることができます。
「自分でできるか不安…」「何から始めればいいかわからない…」という方も、まずは一度ご相談ください。あなたの状況に合わせて、最適なサポートをご提案いたします。
料金についてのご案内
ご依頼いただく内容によっては、通常の料金に加えて割増料金が発生する場合がございます。お客様の母国書類(英語以外)の翻訳が必要、在留期限まで14日を切っている、新設会社での外国人雇用(事業計画書等作成)など、翻訳が必要、急を要する申請、通常要しない書類作成が必要になるなどの場合には追加の費用をお願いしております。
外国人ビザ申請に関するお支払いについて
契約締結後に申請費用の半額を前払いでお願いしております。ご入金が確認でき次第、必要書類や手続きの詳細について丁寧にご説明いたします。
申請の結果が「不許可」となった場合には、残りの半額は請求いたしません。なお、不許可の理由が明確で、再申請によって許可が得られる可能性があると判断した場合には、無償で再申請を行います。その後、許可が下りた際に、残りの半額を請求させていただきます。
全額前払い・返金不可となるケース
以下のような場合には、契約時に申請費用の全額を前払いでお願いしております。また、申請が不許可となった場合でも、半額の返金はできかねますので、あらかじめご了承ください。
▶ 許可が下りる可能性が低いことを事前にご説明したにもかかわらず、お客様のご希望により申請を行い、不許可となった場合。
このようなケースでも、不許可の理由によっては、無償で再申請を行うことが可能です。
再申請・返金ができないケース
以下のような場合には、残りの半額も請求させていただきます。また、無償での再申請もお受けできません。
▶ お客様が申請に必要な事実を故意に隠したり、虚偽の情報を提供したことにより、不許可となった場合。
